マンガ版『妃教育から逃げたい私』1巻感想 現状から逃げたい令嬢と彼女を溺愛する王子のすれ違いコメディをアニメ版と比較

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追われて、追って…な勘違いコメディ

 今回はマンガサイト「コミックPASH! neo」で連載中の『妃教育から逃げたい私(原作:菅田うり/作画:沢野いずみ/キャラクターデザイン原案:夢咲ミル)』を紹介します。過酷な妃教育を受けていた主人公「レティシア・ドルマン」は、婚約者「クラーク」王子が隣に令嬢を侍らせているところを目撃します。王子が別の相手を見つけて妃教育から解放されると勘違いし、田舎へと帰ったレティシアの身に降りかかる思いもよらない事態とは…。

ハイテンションな王宮コメディ

 主人公のレティシアは過酷な妃教育に耐えられなく、現状から逃げ出す方法として婚約者のクラーク王子から離れることを望んでいます。そして、物語の冒頭から絶好の機会が巡ってきます。クラーク王子が貴族令嬢のブリアナを連れてレティシアの前に現れ、ブリアナのことを紹介してきたのです。

 婚約についてクラーク王子に問いただすレティシアに対し、彼は「そういうことだ」と返答。その意味をレティシアは婚約破棄だと解釈します。やっと妃教育から解放されたと、レティシアは諸手を挙げて喜び、王宮から抜け出して田舎へと帰るのでした。しかし、釣りに興じるレティシアは、彼女を眺めているクラーク王子と再会して…。

 意思疎通のズレからレティシアとクラーク王子の思惑がすれ違い、現状打破しようとするレティシアと、彼女を溺愛するクラーク王子の駆け引きが繰り広げられます。ハイテンションなコメディで、そんなのあるわけないだろうと予想外すぎる奇想天外な展開が楽しめます。

TVアニメ版は少し残念?

 本作は2025年1月からTVアニメが放送されています。しかし、個人的にアニメ1話を見た感想は、最後のオチありきで構成していたためか、テンポが悪く残念な印象を受けてしまいました。コメディ作品として笑える要素が終盤に集中していて、前半のシリアス目な展開が受け付けなかったのが原因です。第2話ではレティシアの境遇を説明し終えたのもあって、マンガ版寄りのコメディ中心になったストーリーが展開され、面白さが増しています。

 マンガ版でレティシアが妃教育を受ける場面は、苦難を思い出す形としてコマの一部で語られたのみでした。しかし、アニメの1話では前半15分ほどをかけて幼少期のレティシアが王城に迎え入れられる場面から始まり、過酷な妃教育によって笑顔が失われていくまでを克明に描いています。

 最終的にクラーク王子の言葉を婚約破棄だと誤解し、王宮から抜け出すレティシアで幕を閉じます。マンガ版の1話をアニメでも1話として構成するパターンが多いところ、本作ではマンガ1話の話すら描き終えていないのです。レティシアの所作や思考が成長していく様子など見どころもありますが、引き延ばしともとれる進行の遅さがアニメ版で残念に思えた一因でした。

 また気になるのが作画の面で、低予算アニメなのか線が少なく、コストがかからなそうなキャラクターデザインが悪い意味で目立っていました。特に1話でのレティシアは王宮の場にふさわしい化粧だったのかもしれませんが、やや実年齢以上に年を重ねて見えます。

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マンガ版で作品の面白さを知ってほしい

 アニメ版も決して悪くはないのですが、やはりハイテンションなコメディ作品として完成されているのはマンガ版でしょう。実際、アニメ版1話を見て微妙に感じてしまったところ、マンガ版1話を読んで本作の面白さに気が付きました。

 もちろんアニメを見て楽しめた視聴者の多くは、マンガ版でも違った楽しみを見つけられることでしょう。それ以上に、アニメ版を見て残念だった人こそ、あらためてマンガ版で本作に触れ、魅力を知ってほしいと思えるような作品です。

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