今から更にヴァーチャルリアリティが発達した未来、仮想の向こう側にはもう一つの世界が生まれていた。主人公の「神太郎(じん・たろう)」は彼が管理する仮想世界で憧れの人と同じ名前と姿を持つウェイトレスを助けるために行動するが、そんな彼を嘲笑うかのように現実で事件が発生してしまい……。
そんな冒頭から始まる「神さまの恋人」ですが原作が伊賀大晃先生、作画が月山可也先生という「エリアの騎士」の2人が再びコンビを組んでいます。
ヤングマガジンで連載されており最近1巻が発売されたばかり。
スポーツ漫画だった前作とは趣が違いますが意外性があって良いですね。どうして事件が起きてしまったのか真犯人は一体誰なのかなど謎が謎を呼ぶミステリー作品「神さまの恋人」の魅力と見所を紹介していきます。
「神さまの恋人」のあらすじ
大学付属病院のコンビニでアルバイトをする神太郎。客からは見下されてしまったりする彼だったが本人曰くコンビニバイトは副業でバーチャルワールドの管理者という裏の顔を持っていた。
その世界こそ昭和から平成に移り変わる直前の一週間だけ存在した幻の昭和64年の東京をイメージした仮想世界「64TOKYO」だった。太郎=ジンタと幼馴染の智也はそんな世界で新しくできたカフェに立ち寄ったのだが、そこにいたのは憧れの研修医”柊舞花”と同じ名前と顔を持つウェイトレスだった。
そんな彼女が暴漢に襲われそうになった所を助け出し、相手をメスで刺して消去したジンタだったが……。その正体が本物の舞花に絡んでいた嫌味な医者”西大輔”だった事を突き止めるも彼は通り魔に殺されてしまっていて!?
「神さまの恋人」の魅力と見所
仮想空間と同じ事が現実で起きてしまうという事件が謎で面白い
例えば”ソードアート・オンライン”だったり他の作品でも仮想空間で死んでしまった場合に現実でも同様に死んでしまうシチュエーションが登場することはありますが、それは装置が連動していたりして同期してのものだったりします。この作品がその辺りと異なっているのはあくまでもゲームの外なのに現実がゲームと繋がってしまうという事態の謎にあります。
徐々に侵食していく仮想世界のせいか神の姿もぽっちゃりだったのが痩せた上に身長も増えてヴァーチャルのジンタになってしまったりしてその関連性の謎から目が離せそうにありません。
仮想世界の登場人物たちの正体は誰!?
仮想世界「64TOKYO」には病院関係者を含み多くの人物が参加しているようですが、そんな彼らは仮の姿なために現実ではどこの誰なのかわかりません。
そんな状況で「64TOKYO」と同じシチュエーションで現実でも人が殺されてしまう事件が起きてしまうのですが、仮想世界の人物の正体がわからない上に参加者たちに含みをもたせたようなセリフも多く誰もが怪しく思えてきてしまいます。ヒロインの1人であるウェイトレスの舞花が病院の研修医である舞花本人なのかすらもわからないので本当に彼女がシロなのかすら謎に包まれてしまっています。
死んだはずの人間がバーチャル世界で再登場!?
ジンタがメスで刺した事と連動して現実世界でも殺されてしまったはずの西大輔ですがどういう訳か「64TOKYO」の中で再登場してきます。しかも管理者が行えるような事象の操作が行えたりというチート性能まで持っている始末。
彼は仮想世界と現実の間で起きた事件について何か掴んでいるようですが……!?
そんな謎に包まれた人物も前述の通り現実世界の誰かなのか仮想世界にいるNPCを超越してしまった存在なのか判別できないために正体が不明です。誰がどんな目的でその姿を操っているのか推理や考察してみるのも面白いでしょう。
「64TOKYO」が思ったよりも昭和っぽくない
作中ではもう一つの現実として存在している「64TOKYO」ですが昭和64年(=平成元年)を舞台にした仮想空間でありながらそういうアイテムが登場する事がないために昔っぽさは感じません。
確かに30年経った先に昔の漫画で描かれた未来世界のような時代が待っていたかと言われれば、実際のところはそれほど変わりなかったりもするのですが……。
せっかくの設定でありながら活かしきれていない残念な部分なのですが、そんな評価を覆すことはできるのか今後に期待したいですね。
「神さまの恋人」の感想まとめ
現実でも仮想世界と同様の殺人事件が起きながらも仮想世界で殺された時に現実でも死んでしまったわけでもないのという謎に包まれた事態を神さまであるジンタが追っていくミステリー作品。わからない事が多すぎるせいで全てが怪しく思えてきてしまうという謎に包まれたストーリーが展開さ荒れていきます。
そんな謎が徐々に解き明かされながらも一方では新たなる謎が生まれてきてしまい非常に考察のしがいがありそうな物語になっています。
果たして事件の真相がどこにあるのか、裏で糸を引いている真犯人は一体誰なのかジンタと一緒に追いかけてみてはいかがでしょうか。
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