クズだけど、なぜか微笑ましい カードゲーマーの生態をコミカルに描いた『かみあそび!~カードゲーマー少女の日常~』が面白い【ネタバレあり】

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カードゲーマーのろくでもない生態を描く

今回はマンガアプリ「コミックDAYS」で連載中の作品『かみあそび!~カードゲーマー少女の日常~』(原作:文月いつか/作画:森もりん)を紹介します。本作はカードゲームを楽しく遊ぶ女子高校生たちを主人公に、カードゲームプレイヤー(カードゲーマー)の独特な一面を個性的に描いた日常コメディ作品です。

(C)Itsuka Fumizuki・Morin Mori/講談社

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カードゲーマーの赤裸々な生態

 本作は今や「ポケモンカードゲーム」で一部のパックが入手困難となり、転売屋も横行するなど一大ジャンルとなった感があるカードゲームを題材にした作品です。普通の女子高校生だった主人公「嵐山風花」が、ふらりと立ち寄ったカードショップで、偶然にクラスメイトの女子「火継焔(愛称:ぽむ)」と出会ったことをキッカケにカードゲームの世界へと立ち入ります。

 カードゲームマンガと聞いて、多くの人は『遊戯王』や「デュエルマスターズ」シリーズといったゲーム展開や勝敗を描いた作品を想像する人は多いでしょう。しかし、本作は珍しくカードゲームをプレイする人間のほうに焦点を当てた作品になっています。

 そうなると難しくなってくるのが作中描写で、聞きかじっただけの知識で描いてしまうと途端に現実味が薄れてしまいます。本作は登場人物の性格をはじめ、カードゲームの設定などが凝っており、むしろ読者もカードゲーマーだからこそ共感を得られるだろう描写が多く存在します。

愛があるからこそのカードゲーマー弄り

 また本作の内容はカードゲームを通して得られる満足感や信頼関係を描く楽観的な内容ばかりではありません。どちらかといえば、プラス要素よりも「カードゲーマーって、こういうしょうもないところがあるよね」というマイナス面を積極的に描こうとしている気配すら感じます。

 そうした傾向が顕著に表れているのが、違うクラスの委員「土門早苗」やお嬢様「滝川みなも」に先述したぽむを加えた風花のカードゲーム仲間たちです。普通の学校生活は世を忍ぶカモフラージュで、お金があればカードに使うくらい世界の中心にカードゲームが存在しています。日常会話を送るなかでも「アド(有利)」「アグロ(速攻)」といったカードゲーム用語が飛び出し、特にぽむは相手への煽りを忘れないぐらい口の悪さが出ています。

 正直に言ってしまえば性格が悪いのですが、そうしたマイナス面を悪辣に描くのではなくカードゲーマーの愛嬌として普通に描いているのでストレスがありません。それどころかカードゲーマーのマイナス面を、愛すべきところとして描いているような気さえしてきます。

絶妙すぎる現実加減

 また、本作のように日常のなかで良くある出来事を描く、「あるある系」作品には共感性と納得が必要です。個人的には現実にありえそうな物語だからこそ、読者の体験と重なり面白さが生まれるものだと思っています。

 特に大事なのが本作に登場するオリジナルのカードゲーム「アルケミック・バーサス」でしょうか。原作者である文月さんのnoteを見てみると、マンガ的な見せ場を考えて凄い練り込まれたルールだと感じます。この理解度があって「カードゲームデザインに関しては経験も知識も一切持ち合わせない素人」って嘘じゃないかと思ってしまいます。

 ここまで練り込まれていれば、設定を引き継いでカードバトルマンガも作れるんじゃ。実際に作ろうと思うと1枚のカードバランスも必要になってくるので、難しさもありそうですが…。

 カードゲーマーに対する世間の風当たりやお風呂問題を笑いに変えるセンスも絶妙すぎますね。

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カードゲーマーじゃなくても面白い

 作品の性質上としてメタ的な側面もあるため、一番楽しめるのは現役または過去に紙のカードゲームに熱中した経験のあるプレイヤーかと思います。

 じゃあカードゲーマーじゃないと楽しめないのかといわれれば、個性的な趣味を持った女子高生たちのコメディとしても面白いので、ぜひとも手に取ってほしい作品です。あまりの非常識っぷりとツッコミの秀逸っぷりで新年の笑いはじめとしても良さそうな作品になっています。

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