一花の「自分の本心と向き合う事」や四葉の「過去との決別」など、学園祭を通して姉妹にそれぞれの試練が与えられてきた「最後の祭り」編。
そんなシリーズで五月に与えられたのは「自らの進路や夢」に関する部分でした。自らの夢を果たすために努力を積む五月でしたが、思ったような成果は得られていませんでした。
このままで本当に良いのか疑念を抱きつつも努力を積み続ける事で五月は「現実」の問題ときちんと向き合っています。
しかし、そんな五月に追い討ちをかける様に現れたのが彼女たちの実の父親である無堂でした。彼は五月の夢に対して母親の呪縛だと断じ同じ道へ進んで欲しくないと願います。
広がる波紋に五月はどんな道を選ぼうとするのか、この出来事を通して五月と風太郎との関係性に変化が訪れたりするのか……そんな点に注目しながら今回の話をみて行こうかと思います。
五等分の花嫁 第110話 「最後の祭りが五月の場合②」
憧れの母親を追う夢は間違っている⁉︎ 五月に突きつけた無堂の現実
二日目を迎えた日の出祭で五月の前に再び現れた無堂。実の父親だと名乗る彼は自らの義務を果たそうと母親を追って教師の道を選ぼうとする五月を止めます。
五人姉妹たちが生まれる直前に居なくなってしまった事を謝罪する無堂は今更ながらに父親であろうとします。五月にもすでに父親なら居ると反論しますが、そんな言葉に「お母さんが死んだ時に彼が君に何をしてくれた?」と突きつけられて……。
そんな話題の直後に無堂が五月の進路へとすり替えたせいですっかり動揺してしまった五月ですが、無堂が突きつけた言葉以上にマルオは父親として五人姉妹に愛情を与えてきたはずだとこれまで見てきた印象からは思います。
少なくてもこのまま路頭に迷って離れ離れになってしまうのかと心配を抱いていた彼女たちの身柄を引き取る事で解消したのはマルオです。確かに自らの多忙からマルオが姉妹たちを気にかけてやる機会は少なかったかも知れませんし、無堂のいう通り父親として決して合格とは言えなかったかも知れません。
しかし、それを言ったら本当に今まで父親らしい事を何一つしてこなかったのは他でもない無堂その人のはずです。翌日、風太郎の前に現れた無堂の悪びれた様子からは反省の謝罪すら本心とは思えず……正直、痛い目にあってくれないかなという気すらしてしまいます。
不遜とも言える態度を見せる無堂ですが、それだけでは勇也があれだけ警戒を見せるのに足りませんし、まだその裏には隠されている様な印象があります。風太郎に追及されて思惑通りに運んでいる事を確信したのかニヤリと笑うのが証拠ではないかと。
やっぱりこの漫画に登場するキャラクターの中で唯一と言って良いほど悪人じみている気がしますし、本当に無堂はギャフンと言わされるほど痛い目にあってくれないかな……。
後悔を口にする零奈、その真意は本当に無堂の言う通りなのか
「私の人生は間違ってばかりだった」「私のようには絶対にならないでください」とココに来てネガティブな発言が目立つ母親の零奈。無堂に憧れて教師に進んだ彼女の進路が間違っていたと五月を踏み留まらせる無堂ですが、本当に真実は彼のいう通りなのでしょうか。
零奈がネガティブな発言をする原因は他でもない無堂にあるような気がしています。彼女が子供、しかも五つ子を宿すと同時に姿を消してしまった彼の無責任さ。
そんな無堂を自分の相手に選んでしまった男を見る目がなかった自身とそのせいで貧乏暮らしとなって娘たちに苦労をかけてしまった事実こそが彼女の後悔なんじゃないかと個人的には思います。教師の道に関しても恐らくはそれ自体ではなく無堂に憧れてその道を選んでしまった事に関しての後悔だったのかも……。
五月の迷いと応える風太郎のこれまでの想い
最終日に姿を見せなかった五月を支えるために二乃からカードキーを託された風太郎は彼女の待つマンションへと向かいます。
無堂の言葉のせいで自分の道が間違っているのか悩みつつも諦めきれないという五月。そんな彼女に風太郎が語ったのは自分が家庭教師として歩んできたこれまでの道のりでした。決して平坦とは言えなかった問題児たちとの関わりから「教師なんてなるものじゃない」と結論を出す風太郎。しかし無堂の言葉を「他人の戯言なんて聞く価値もない」と蹴り飛ばします。
たとえ血の繋がりがあったとしても高校卒業直前まで全く関わりがなかった実の父親なんて風太郎の言うとおり他人と対して変わりがありません。そして零奈そのものではなく零奈と同じ教師という職業を追っている事にも言及。それは間違いじゃないと告げる風太郎に五月の迷いは晴れたようでした。その上でもう一度無堂と会わなくてはいけないという五月。その想いとは違った形で彼に突きつけられる五月の選択にどう向き合っていくのでしょうか。
無堂の本当の狙いが気になる直接対決にまだ続く?
やはりというか他の姉妹と違って一回だけで決着をつけるには難しかった五月に降りかかった出来事。次回が「五月の場合③」になるのか、それとも違うタイトルになるのかわかりませんが引き続き実父である無堂の問題が続きそうです。
悪人であるかのように描かれている無堂ですが、自らの愛から父親らしい事をしてあげたいという言葉が事実ならば進路を迷う五月に現実を突きつけてワザと迷わせる事で道をはっきりさせる目的とかでしょうか。それならば悪人を作らずにこの一件が落着しそうですが……。
この話が終われば次は風太郎の決断が描かれる最終日の夜。これまで描かれてきた扉絵のシーンへと繋がる事でしょう。
物語の結末へと繋がるかも知れない風太郎の答えが気になりつつも先ずは五月の抱える問題がどのような決着を迎えるのか。その際にはこれまでの姉妹と同じように五月と風太郎とのキスが描かれる事があるのか。そんな問題の答えが描かれそうな次回の話を楽しみに待ちたいと思います。
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