「ローゼンメイデン」シリーズや「しゅごキャラ!」などで有名なPEACH-PIT先生の漫画「二科てすらは推理しない」が面白かったので紹介します。月刊マガジンで連載されていたもので全一巻で完結しています。
「二科てすらは推理しない」のあらすじ
通勤中のサラリーマン、百地俊太は満員電車で痴漢にされかけると言う危機に瀕していた。そんな危機から彼を救ったのが同じ電車に乗り合わせていた女子高生、二科てすらだった。
独自の思考を披露した彼女はたちどころに俊太が犯人ではないことを証明してしまう。
一時は別れる事になったのだが気になってもう一度合えたらと淡い期待を抱いて一週間。俊太は橋桁から飛び降りようとするてすらを目撃した。
紆余曲折あり飛び降りは勘違いだったものの俊太が話をすると「実は中身はおっさん」だと名乗るてすら。いまいち彼女の言葉が理解できない俊太だったが彼女の推測を元に見にいったマンションをきっ掛けにある事件へと足を踏み入れていくのだった。
「二科てすらは推理しない」のここが魅力
二科てすらは探偵役なのに推理をしない!?
この物語の探偵役は二科てすらなのですが、彼女はタイトルの通りなのですが推理をしません。いわゆる助手役の百地俊太も同じくなんですが、ミステリー漫画なのに”推理しない”って言うのが面白いですね。それじゃあ彼女はどうやって物語を解決へと導くのか、その答えが思考実験です。どちらかと言えば推理というよりも確信に近い推測といった感じです。
この思考実験が推理と違うのは物的証拠を必要としないと言うことでしょうか。痴漢冤罪にあいかけた百地を助けた時が良い例なのですが、満員電車で身動きが取れないにも関わらず彼女は見事に事件を解決してみせます。
ミステリー小説のように巧妙な伏線が張り巡らされているわけでなく綿密なトリックが仕掛けられているわけではない、だけれども面白いのは、物語の大部分をこの思考実験が占めているからなんですね。
二科てすらの思考実験が面白い
日常としては些細のように見えること、例えば「マンションの8階に3本の傘が干してあるのはなぜなのか?」「古書の奥付けに落書きしてあるメッセージの意味は?」などを考察していくうちにいつの間にやら大きな事件へと発展していきます。
推理マンガの性質上といって良いのか台詞やモノローグの量が多めになっています。しかし中身がおっさん(自称)の二科てすらの語り口やテンポが軽快なのであまり苦にはなりません。
それに加えて”二科てすら”自身も何やら謎を秘めた感じになっているのがより一層物語に深みを与えます。自称”アラカンのおっさん”の二科てすらは本当に入れ替わったりしてしまっているのか、それともそういう”設定”とかだったりするのか。何故てすらは橋の下へと飛び降りようとしていたのか?など考えるうちに読んでいる方も彼女の思考実験へとハマっていってしまいます。
「二科てすらは推理しない」の感想まとめ
「二科てすらは推理しない」は一風変わった推理マンガになっています。推理はしないのですが若干尊大とも言える(自称)中身おっさんのてすらの風格は探偵そのものと言っても良いでしょう。
そして作者があの「PEACH-PIT」先生なので登場する女の子たちが皆可愛いのもまた魅力的です。特に登場シーンが物語の大半を占めているてすらのなんとも言えない表情がたまりません。
一巻で完結しているため余計な引き伸ばしなどがなく話が進んでいくので飽きずに話を読む事ができますし、ちょっと気になったところで購入しやすいのも良い点ではないでしょうか。
読み終わってしまったけどまだまだ”二科てすら”の話を読みたいという人には続編である「二科てすらは見つからない」も出版されているのでこちらもオススメです。
百地俊太や二科てすらと言った登場人物たちの前にどういった困難が待ち構えていて、どうやって解決していくのか……あなたも「机上の空論」を始めてみてはいかがでしょうか?
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