最近、あるツイッターマンガがSNS上で炎上騒動に発展しました。触らぬ神に祟りなしとも言いますが、SNSを通じた誤解や拡散の影響について考えさせられる出来事だったので、あらためて振り返ってみたいと思います。
問題になったツイッターマンガ騒動について
ある漫画家さんの投稿が騒動に発展
問題となったのは“ある漫画家さん”が投稿した「異世界系マンガではなく、巨乳ヒロインが登場する作品を描きたい」というお嬢様マンガ家の妄想話でした。投稿の末尾に添えられた一文を見るに、即売会で出す予定の同人誌を告知としてプレビューしたようでした。
タイトルとして「異世界コミカライズもう一生描きたくねえ話」と添えられていましたが、その文章も含め投稿を見た人の一部には本人の主張としてとらえられたようです。その結果、投稿には「プロ意識が足りない」「原作者に失礼」といった批判を呼ぶことになりました。
フィクションと現実の誤解
あくまでも異世界マンガに対して否定的ともとれる発言は作中に登場する人物やタイトルと思われる文章であり、投稿主が意図しているとは限りませんでした。しかし、投稿主は「小説家になろう」に掲載されていた異世界マンガをコミカライズした商業マンガ家であり、投稿を見たコミカライズの原作者もまた内容を誤解してショックを受けたことが事態を悪化させます。
原作者が反応を見せた時点で素早く投稿主も謝罪し、あくまでもフィクションのなかに登場する人物の考えであり、自分の考えとは異なるものであると表明すれば最低限の被害で鎮火できたはずでした。
騒動の原因:フィクションと作者の切り分け不足
投稿主の問題がどこにあったかといえば、フィクションと作者本人の切り分けが難しかった点です。最初にSNSで作品を発表した際に、フィクションであることを明確にするための一文を添えるなど誤解を避けるための配慮があれば問題にならなかったはずです。直接的に異世界小説を批判するような内容ではなく、登場人物が極論に至っていたとしてもマンガ的な構成として許されるだけの主張でした。
SNSとネット社会の難しさ
結果として批判は過熱し、少しずつ投稿主は身動きが取れなくなっていきます。最終的に自然鎮火を選ぶしかなくなったのか投稿主は閲覧制限を選びましたが、やはり今後のことを考えると巻き込んでしまった原作者への謝罪と騒動に対する意思表示は大人の対応としてしっかり行うべきだったと考えています。
しかし、今回の問題が投稿主のみにあったと、必ずしもいうことができません。第三者的な立場であるはずなのに義憤に駆られて投稿主に批判を向けたネットもまた問題であるからです。
SNSの誤解が生むリスクと社会的影響
SNS上の議論が加熱し、悪意や誤解によって作者や作品が不当な批判を受けるケースは少なくありません。「テラスハウス騒動」や「セクシー田中さん事件」のように、誤解や批判が過剰になることで、最悪の結果を招いた例もあります。
今回の件もまた必要以上にネットの正義が暴走することによって最悪の結果を招いてもおかしくない事態でしょう。ネット社会においては、他者の誤解や悪意が実社会に影響を及ぼし得ることを忘れないようにするべきです。
まとめ:言葉の暴力に細心の注意を
SNSを通じて自身の作品を広めるのは有効な手段ですが、話題になることを優先するあまりに他人の気持ちに配慮を欠いてしまうと悪い結果を招きます。文章の場合は身振りや手ぶり、その場の雰囲気で感情が伝わりやすい対面での会話より誤解が生じやすく、相手も不特定多数であり、より細やかな他人への配慮が必要とされるはずです。
言葉を受け取った相手の気持ちを考え、穏やかなネット社会を作っていくのが誰かの不幸を招かないために最も大事なことではないでしょうか。