運営の対処にユーザーの不満が爆発
スマートフォンゲーム『Fate/Grand Order』で、12日1時20分から同日19時まで不具合発生による長期メンテナンスがおこなわれました。現在は不具合も修正されてゲームを再開していますが、問題の対処を巡ってSNSではユーザーから批判が殺到する炎上騒動へと発展しています。果たして運営の取るべき、正しい対応とはどのようなものだったのでしょうか。
運営はDUPE(アイテム増殖)を容認?
今回のメンテナンスに至った原因を運営は「達成済みのマスターミッションの報酬が再度受け取れてしまう不具合の調査・対応」だと発表しています。プレイヤー以外は聞きなれないかもしれない「マスターミッション」は、目標を達成することでアイテムを獲得できる課題を指します。
この課題をクリアして、プレイヤーはサーヴァントと呼ばれるキャラクターを召喚(ガチャ)するためのゲーム内通貨や入手個数が限られている貴重なアイテムを手にすることができました。しかし、一部のプレイヤーに限り、受け取ったはずのアイテムを再度獲得できるようになったのが今回の不具合です。
もっとも問題になったのが、不具合を受けたユーザーが特定の行動をとることにより、無限に報酬アイテムを受け取れたことでしょうか。いわゆるDUPE(デュープ)と呼ばれるバグを利用したアイテムの増殖行為は、ゲームバランスを大崩壊させる可能性があるために悪質な決して許してはいけない行為です。
結論から言ってしまうと運営は不具合の対処として、不具合に遭遇したユーザーから残っていたアイテムを回収しています。しかし、既に使用したアイテムについて不足分の回収はされず、不具合を利用して不正行為をおこなったユーザーが一番得する構図に見えてしまった事実が考えうる限りで最悪の対処でした。
さらに悪質なユーザーへの対処法が明記されず、不正行為をおこなったユーザーが一番得をする構図に見えてしまったのが、より多くのユーザーの不公平感を増幅させ、不満に感じてしまった原因です。同じ対応でも、まだ「今回の不具合について悪質な行為をしたと思われるユーザーは不正利用として対応をおこなう可能性があります」など、悪質なユーザーへの処分が明記されていれば溜飲が下がるユーザーも多かったかもしれません。
難しかったロールバック
それでは今回の問題に運営が最善だったのは、どのような対処だったのでしょうか。一番手っ取り早いのが、最初に不具合が発生したと思われる11日18時(イベント開始時)へのロールバック(ゲームデータの巻き戻し)です。ゲームデータのロールバックであれば、不具合で受け取れたアイテムがなかったことになるため不公平感は生まれません。
ただ、運営にとって悪かったのが、そのタイミングです。ステージを周回して獲得した抽選券を使って、総数が決まったなかから有用なアイテムを抽選できる「ボックスガチャ」のイベントが始まったばかりでした。普段は手に入りづらい育成アイテムも大量に手に入れられるため、時間を費やして多くのプレイヤーがステージを周回していました。
また、イベントの目玉として課金ガチャに実装された新キャラクターも、魅力的な見た目に加えて高い性能を持っており、何とか手に入れようと挑戦したユーザーも多かったことでしょう。イベント開始時までのロールバックとなると、せっかく手に入れたキャラクターも消えてしまい、もう一度ガチャに挑戦したとしても再獲得できない可能性が生まれます。
そうなるとロールバックされたときに自分の獲得した成果も消えてしまい、やはり不具合が発生しなかったユーザーから運営の対処への不満は生まれた可能性が高くなります。これが、早めの19時ぐらいに不具合が発覚して、1時間の成果が無になるだけならまだ批判が少なかったかもしれません。
しかし、実際にメンテが始まった13時20分までは7時間以上あります。それだけガチャを回したユーザーや周回に費やした時間も増えてしまい、損をするユーザーが増えたのが運営の判断を難しくした理由でしょう。
アイテムの配布も難しかった
次に考えられるのが、アイテムを回収せずに不具合によって獲得できたぶんだけ、何もなかったユーザーにもアイテムを配布することです。獲得できたアイテム量を等しくするのならば、ユーザーにとっては得しかないために不満は生まれません。
しかし、アイテムの回収なしになると問題になってくるのが、不正行為で大量すぎるアイテムを手にしたユーザーがいたことです。なかには500回以上もガチャに挑戦できるほどアイテムを増やしたユーザーもいたようで、配布量を上限に合わせてしまうとゲームバランスが崩壊して運営が成り立たなくなります。
そんなに大量のアイテムを配布してしまえば、開発ディレクターのカノウヨシキさんを始めとした関係者のクビが飛ぶのは免れないことでしょう。不満というよりもカノウさんが更迭されて悲しみの涙を流すユーザーの姿が見えてきます。
現実的なのは不正がなくアイテムを獲得したユーザーの平均値を調べて、およそのアイテムを不具合に遭遇しなかったユーザーに配布するくらいでしょうか。結局のところ、最大の問題はアイテムを増殖させた不正行為なので、不正ユーザーへの処罰については明言するべきだったと思います。
さらなる調査と対処を約束
結論として不正行為でアイテム増殖をした悪質ユーザーが最大限に得をし、似たような不具合が起きたときにバグを悪用したほうが得になるような風潮を作ったのが間違いでした。
そこで運営にも多くの苦情が届いたのか、公式は21時37分に「一部の方への対応が不完全であることが判明いたしました」と、さらなる問題の調査と対応を発表しています。運営もまた「特にゲーム内の重要アイテム等のバランスも崩れてしまっている状況」と今回の事態を重く見ているようです。
いまだに言及しないままですが、やはり特に悪質なユーザーに対してアカウント停止(BAN)など、厳しい処分は免れないでしょう。これ以上の発表はありませんが、今回の件についてはいったん矛を収め、運営のさらなる発表があるまで静かに待つしかないのかもしれません。