西尾維新先生の作品『大斬り』が面白かったので紹介します。感想のネタバレは少なめになっています。
あらすじ
西尾維新が9本の御題を元に創造した原作を9名の漫画家が各々の個性をもって描き切る。ここでしか見られない規格外の短編漫画集。
感想
『戯言』シリーズや『物語』シリーズなどで知られる西尾維新先生の出したお題として描いたネームに『めだかボックス』で仕事を共にした睦月あきら先生をはじめとした9人の作家が答えて漫画を執筆したこの作品。中村光先生の作品として最近までアニメ化、ジャンプ+で連載されていた『十二大戦』の完結編も収録されています。
こんなタイトルの理由は触れられてませんが、大斬りという事で大喜利とかけてこうなったんでしょうね。シュールだったり超常的だったりする独特の世界観から紡ぎ出される物語はなんとなく『世にも奇妙な物語』を彷彿とさせます。
例えば『ロザリオとヴァンパイア』の池田先生の作品なのですが、可愛い女の子が何までなら殺せるかという問いかけをしてくる話。そのある意味衝撃的とも言えるラストは『世にも』に本当に同作にありそうな話になってます。
小畑先生の天国には一体何があるのかという話もだいぶオチがシュールななんとも言えないものに……。
救いがない物語ばかりでもなく『いちご100%』で知られる河下先生の作品はらしいラブコメだったり西尾節は健在ですが雰囲気は様々。助手子ちゃん可愛いのでやっぱりジャンプ本誌で王道のラブコメを連載していた先生だなと思いました。
どの作品も面白いのですが、中でもやっぱり気になったのが『十二大戦』との絡みがある『どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い』。この作品は前日譚である『十二大戦』と合わせて楽しむのがおススメです。主人公の寝住もですが、彼の回想に出てくる対戦相手に思い入れがあるとなんとなく違う気がします。
逆にこの作品を『十二大戦』の方を読み返すことで大戦に勝利したら叶えられる願いに金を選んでいた辰巳兄弟の本当の願いが実はそんなことだったなんてという驚きもあり……。
どの作品も西尾維新先生が好きならば満足できる作品ばかりなので是非ともファンなら読んでいただきたい。
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