中国の底力は見たけど… 『モブ皇帝~平凡をむさぼる僕が多元宇宙の支配者に選ばれたので、世界を救ってみた~』1話レビュー

 昨今において中国の勢いは凄まじく、特にITや電化製品の分野では日本を追い越し、アメリカとトップの座を争っています。かつては独創性のなさや品質が問題となることがありましたが、今ではそういった批判も聞かれなくなっています。

 アニメの世界においても同様で、今や中国は無視できない存在だと言えるでしょう。そこで今回は、中国発のアニメ『モブ皇帝~平凡をむさぼる僕が多元宇宙の支配者に選ばれたので、世界を救ってみた~』について、1話を見た感想を紹介していきます。

 作品のタイトルが長いため、「小説家になろう」発の作品を彷彿とさせる雰囲気が漂っていますが、実際には中国のネット小説サイト「閲文・起点読書」です。いわば中国版のなろう系アニメと言えるでしょう。

目次

『モブ皇帝~平凡をむさぼる僕が多元宇宙の支配者に選ばれたので、世界を救ってみた~』って、どんな作品?

難解さの目立つSF作品

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 この作品の主人公、「陳俊(チェン・ジュン)」(日本版CV:佐々木俊介)は平凡なエセオタクだったものの、ある日に見ていた夢のなかで、多次元宇宙帝国の皇帝に任命されたことをきっかけとして、日常から一転して波乱に満ちた展開に巻き込まれます。

 作画自体は凄まじさがあるものの、中国のアニメ作品らしい欠点が悪目立ちします。作中では時代設定や世界観の説明がほとんどなく、説明不足のせいで物語が進行する中で「何かすごいことが起きているらしいけど、結局よく分からない」という感覚が残ってしまいます。公式サイトやあらすじを確認すると多少は理解できるものの、それでも作品を理解するための情報不足は否めません。

作画と3D技術

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 日本のアニメと比べて悪いことだけではなく、中国の技術力の高さがうかがえる3Dアニメーションの優れた品質もあります。日本でも『ガールズバンドクライ』のように3Dアニメが発展してきていますが、動きや見せかたに工夫がありつつも、やはり3Dらしい印象が残っています。モブ皇帝は3Dでありながら、セル画のように感じるシーンも多く、違和感のない滑らかな動きを見せています。

 まるでソシャゲのムービーをそのままアニメにしたかのような感覚があるアクションや視覚的な面でのクオリティは高く評価でき、脚本において不足はあるものの3Dの技術は日本を凌ぐ可能性を感じさせます。

中国アニメの今後に期待

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 近年、中国アニメは作画や3D技術の面で成長しており、最近でも中国製のアニメ『Call Up Girls』が作画の良さで話題になっていました。モブ皇帝もそうした流れに乗っている作品ですが、脚本やストーリーの構成では、まだ日本アニメと比べて見劣りする点が目立ちます。

 しかし、中国アニメは確実に成長しており、日本アニメとの違和感が少しずつ解消されていく未来が見えます。次第に「中国アニメだから」という理由で敬遠されることがなくなり、評価される作品が増えていくことでしょう。

総評

『モブ皇帝』は決して悪い作品ではないものの、万人におすすめできるかどうかというと難しいところです。特に、ストーリーやキャラクターの描写に関しては説明不足が目立ち、視聴者を混乱させてしまうことが多い印象です。

 それでも、視覚的なクオリティや技術力に興味がある方には、一度見てみる価値があるかもしれません。アニメの「元寇」が迫ってくるのかどうか、今後の中国アニメには大いに期待したいところです。

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