【ネタバレあり】ドリームタッグで描かれる令和版ガンダム 『機動戦士ガンダムGquuuuuuX』が先行版映画からヤバすぎた

庵野氏の思い描く「シン・機動戦士ガンダム」

 さて、内容ですが、まさにカラーが本気で作った機動戦士ガンダムといった印象でした。特に序盤は『新・仮面ライダー』『シン・ウルトラマン』と昭和の名作をリメイクしてきた庵野秀明氏が、脚本として携わっており「シン・機動戦士ガンダム」とも言えるものでした。誰もが一度は思い描いたようなパラレルワールドの宇宙世紀、しかも一年戦争が舞台となり、過去作を思わせるセリフや『ガンダム』で使われた劇伴音楽が数多く登場します。

『機動戦士ガンダム』第1話をベースにした冒頭の展開では、なぜIFの世界に分岐してしまったのかが丁寧に描かれていました。機体が故障した部下のジーンに変わって、赤い彗星「シャア・アズナブル」が自らV作戦の偵察に潜入するのです。結果として、地球連邦軍はガンダムどころか、ペガサス級強襲揚陸艦(ホワイトベース)まで奪われてしまいます。

 パイロットが『ガンダム』作中(以下、正史)で搭乗したアムロ・レイからシャアに変わっているため、ガンダムの初戦に対する相手もザクIIからガンキャノンに変更されています。ジオン軍に奪われたガンダムはシャア専用として赤く塗られ、新型モビルアーマーに取り付けられるはずだったビットも装備して戦場で多大な戦果を挙げていきます。

 ジーンが偵察のために潜入しなかったという事実は大きなバタフライ効果として現れ、正史では1話限りで倒されてしまうゲストキャラだった「シャリア・ブル」も含めて多くの人間は運命を変えます。驚きだったのが、正史で「量産されていた暁には…」といわれていたビグザムが量産されていたことでした。

 単純にガンダムが奪われたというだけでは一年戦争の勝敗が変わるとも思えなかったために、正史と明らかすぎるほど差がある国力の違いが説得力として現れます。連邦軍による月面都市「グラナダ」への宇宙要塞「ソロモン」落としを阻止する際に、ゼクノヴァと呼ばれる超現象が発生してシャアはガンダムと共に姿を消しました。同時に消えたという「シャロム(シャロン?)の薔薇」と呼ばれた謎の物体といい、正史になかった要素が本編でどのようなかかわりを見せるのかも楽しみでなりません。

そして本編「GquuuuuuX」へ

 そうして初代『機動戦士ガンダム』をカラーなりの解釈で作り直した前日譚「beginning」を終えると、その5年後を舞台に主役のマチュが新型モビルスーツ「ジークアクス」を手に入れることで始まる物語「GquuuuuuX」が始まります。オマージュであふれた前日譚と違い、ガールミーツガールやガールミーツボーイ、謎の機体との出会いを描いた後編は前編と異なる魅力を放っていました。

 「GquuuuuuX」の本編が始まった時点で1時間ほど観た感覚だったので、触り程度かと思った本編の長さにも驚かされました。マチュとニャアンの出会いから始まり、マチュがジークアクスを手に入れるまでかと思ったら、シュウジとコンビを組んで第1回クランバトルに勝利するまで、しっかりと描かれています。

 個人的に見どころだったのは、ニャアンとマチュが屋上の神社で激突するシーンです。挿入歌も相まってガールミーツガールは華が開いたようでした。後の展開を見るに、どちらかが特別な感情を抱いたようでもありませんが…。最終的に赤いガンダムを駆るシュウジとマチュがマブとして手を組み、ニャアンも巻き込まれているので、TV放送が始まったら三角関係の行方にも期待したいです。

 またガンダムのお約束通り、マチュに強奪されてしまうジークアクスも格好良かったです。マチュが思ったよりも戦闘民族すぎて笑ってしまいましたが、序盤はウジウジしていた『水星の魔女』のスレッタと違い、最初から割り切りの良さが強くて好感が持てました。

 戦闘シーンではカメラアングルが動き、スピード感があって迫力がありました。奥行きや立体感があり、非常に見応えのあるものでした。マチュたちはジオン軍にも目を付けられており、クランバトルだけで終わらなそうなので、本編でどのような戦いが描かれるのか期待が膨らみます。

放送が待ち遠しい

 今のところ公式発表はありませんが、劇場版を観て放送開始日が待ち遠しくなりました。日本テレビ系での放送となるのは間違いないので、おそらくは現在『薬屋のひとりごと』を放送しているフラアニ枠で放送されるのではないかと予想しています。いまだに公式発表はなく、放送は秋以降となりそうですが、いつまで待たされるのか気になるところです。放送枠はフラアニなら『金曜ロードショー』の枠も使えば臨機応変に対応できそうですね。

 ゆっくりと待つしかありませんが、物語も含め今後に情報公開されていく作品の展開が楽しみです。

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