『ハコヅメ別章アンボックス』9話の感想です。
いよいよ終わりが見えてきたところで、今回の話では巧妙に貼られてきた伏線が回収されていって見事としか言いようがありませんでした。
本当にさりげなく見える一コマやセリフでも実は重要なポイントが隠されていたりして気がついた時に驚かされます。
個人的にはただのモブだと思っていたキャラが思ったよりも大事な役どころすぎて本当に意外でした。
『ハコヅメ別章アンボックス』9話のあらすじに触れつつ感想
決戦の源に託された想い
大山翔に勝負をかけるつもりの源ですが髭剃りを失敗してしまったりして、他の人にはどうかわかりませんがペアの山田には内心の不安がわかるようです。
カナは藤なら源なら……って思っていましたが、全然そんなことはなくて完璧な人なんていないから気に病む必要はなかったのかも。
そもそも前日に源も藤も大山と話した上で納得しなかったからこそ、カナの言葉はキチンと届いていたのは前回を見ていればわかります。
決定的ではなかった勝負でしたが、その前に源に本部ペアが二通の報告書を届けてくれました。一通は前回ラストの墓前に供えられていた花束からカナたちが突き止めた花屋さんの証言、もう一つが本部ペアと川合がアパートの隣人に聞き込みをした結果得られた証言です。
しかし、まさか隣人が現場検証の時に立ち入り禁止に阻まれたせいで漏らしそうで文句を言っていた人だとは思いもよりませんでした。
確かにアパートの住民だと言ってましたが、そんなピンポイントだったとは……。
ふたつの報告書に共通する「くろすけ」とは！？
二つの報告書のどちらでも秋田るみが発言していた「くろすけ」という言葉から源が家族に一枚の写真を確認してもらうように指示します。
それは隠されていた黒猫のシザーケースのことで「くろすけ」は秋田家で昔買っていた黒猫の名前だったそうです。
妹の加代は黒猫グッズはつい買ってしまうと言っているんですが、何となくその気持ちが分からなくもありません。
ペットって長年飼っているうちにただの愛玩動物じゃなくて家族の一員になっていくんですよね。きっと秋田家にとっての「くろすけ」もそういう存在だったんじゃないかなと思います。
それだけ大切な道具をるみが取りに戻ったところで殺されてしまいました。
そういえば二人を離れさせたときに忘れ物があっても決して一人で取りに戻らないように念を押されていたので言いつけを守っていれば事件は起きなかったはず……。
得られた証言のおかげで観念したのか大山は全てを自白しています。
やったことが許されるわけじゃないですが、父親の家庭内DVに母親の自殺と孤独を感じてしまうような家庭環境で恵まれてなかったのは何とも不幸ですね。
思えばどんなに言い争いの喧嘩をしても暴力だけは振るっていないと言うのは父親から酷い目に遭わされている母親を記憶していたから……言動や行動は正直言ってしまえばクズですがちゃんと何処かに彼なりの優しさはあったのかもしれません。
凶器捜索の行方は……
藤と川合のペアは山奥で凶器の捜索を続けています。
犯人も逮捕されてしまえば大きな話題にもならないようで、現場の報道も岡島新聞だけしかいません。
最初は喧嘩していた藤ですが、わざわざ写真の撮りやすいポーズを取るように仲間を集めたりして取材に協力しています。
そんな問いに対しての答え、特に「誠意を持って真摯に現実を伝えてくれるのが報道なら先々その恩恵を受けられるのは実際に現場対応をする私たち」と言う部分は泰先生のハコヅメに対しての意気込みが伝わってくるようです。
警察について知ってもらいたいからハコヅメを書いているみたいなニュアンスのコメントをしているのをよく見かけるような気がします。
ハコヅメ別章アンボックス8話の感想まとめと次回以降の考察
アンボックス編もあとは最終回を残すのみになって、いつの間にか暗いトンネルを抜けていたような印象を受けます。
作者の泰三子先生が『楽しいことは何も出てこないので、目にしたくない人が飛ばしやすいようにタイトルを変えました』とコメントされていたり、『取り直せない写真』での嫌なフラグもあって何かとんでもないことが起きてしまうんじゃないかという予感。
事実『最悪の裏切り』に至るまでの展開は覚悟をしていなければ、かなり心にくるところはあったのですが、ここ数話は真面目な話を展開しながらもハコヅメらしいユーモアな言い回しやコミカルな部分も出てくるようになってきて良い意味で「ハコヅメ」だったなぁと安心して読めるようになってきました。
カナの拳銃不正使用の処分がまだ下されていないなど不安要素が残っていないわけじゃないですが、最終回もきっとシリアスパートだけど「ハコヅメ」だったなぁと安心して読めるようなラストになるんじゃないかと希望を持っています。
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